2010年7月2日,3日 フェルデンクライス・ワークショップ
於:佐久市農村保健研修センター
主催:(財)農村保健研修センター
平成22年度全国厚生連共催セミナー
対象者:皮膚・排泄ケア認定看護師、看護士、理学・作業療法士、 言語聴覚士、介護員 等
講師:かさみ康子(フェルデンクライス・ジャパン)
1日目
テーマ「体の中心線をさがす」
<午前>
トーク
「フェルデンクライスメソッドとは何か?」
FMは体の「動き」を改善するが、メソッドが目標とするものは何か?これは、「行動」と「意図」とのつながりの質を改善するための学習方法である。「動き」は意図を実現するための道具でしかなく、学習の目的ではない。自分自身がやりたいこと、しようと思うことを実現するためには、まず「何をしているか」を知ることが必要。次に、選択肢を拡げることをとおして可能性を学ぶ。そして、一番適切なものは何かを知り、それを選び取るために、違いを感じ取る感受性を高める。
ATM 仰向けで、頭を持ち上げる。骨盤を上下に転がす。骨盤を持ち上げる。頭と骨盤を同時に持ち上げて、体全体を揺らすように動かす。
ねらい:背骨の存在と動きを、骨盤と頭の動きを使ってイメージする。
ATM 5本のラインとエックスのポジション
ねらい:四肢の長さと位置をイメージし、ひとつが長くなると他の部分にどのように動きがつながるかを調べる。四肢が全部いっぺんに動き、体の中心を動きが通ることを意識する。リーチするという行動と体全体とのつながり。
質疑およびトーク
(参加者から)仰向けで寝るのが辛い。(講師)頭と脚の下にサポートをいれて楽な姿勢を作ってから動いてはどうか。姿勢が楽かどうかを自分で感じて調整することが大切。
小さい動きをすることで、感受性のレベルを上げる。
ATMとFIは同じアイディアを持つが方法が異なる。
<午後>
FI(実践的なイントロダクション) エックスポジションを探索する
(2人で組んで)寝ているひとは、エックスポジションになる。もうひとりが片脚をゆっくり持ち上げる。踵から股関節まで、動きが伝わるのを感じる。次に片方の足首を少し持ち上げた状態で、片腕をリーチして長くしてもらい、体全体の動きのつながりを感じる。
次に、両腕を下におろした状態で、両肩の下に手を入れて、片方の脚をリーチして長くしてもらい肩甲骨との動きのつながりを感じる。
ATM ミニマルリフティング
仰向けで、四肢をほんの少しだけ持ち上げる動き。ひとつずつ持ち上げ、体全体をコーディネイトした上げ方を探す。両サイド同時に持ち上げる。対角の腕と脚を持ち上げる。
うつ伏せで同様の動きを行う。背骨の両サイドがはっきりと感じられる。
共通した変化をチェックするための動き:
立って両足にどのように体重が乗っているかを感じ、左右にかるく体重をシフトする。体全体の動きはどうか?歩く。
2日目
テーマ「腕を長く使う」
<午前>
トーク
「フェルデンクライスメソッドは私たちに何をもたらすのか?」
「effortless」という言葉の意味は?「頑張らない」ということ。
使う力を減らすことは難しい。注意力、集中力を必要とする。少ない力で動こうとするのは何のため。動きの力を「減らす」ことによって、感覚が鋭くなり、相手の動きや自分の動きからもたらされる情報の量が格段に増える。たくさん情報が受け取れることは、センサーとしてのセラピストやケアワーカー自身の手や体が性能の高いものになることであり、何をするかを判断するためのデータが多いことは正確な行動につながる。それはプロフェッショナルとしての「能力」が上がることであり、そこには好奇心と興味への集中力とが存在する。「能力」は上がり、集中力と好奇心のレベルが高くなる。
「好奇心」とは何か?クライアントの体に自分の手を置く時に、そこからどれだけの情報を得ることができるか、情報センサーのレベルを高めることに集中する。そのためには、「予測」をやめることが必要。好奇心を持って体験に新鮮な気持ちで臨むことが大切。
ATM
横向けで 片方の腕を前後に伸ばす、骨盤と肩甲帯の動きの協調性を探る
ねらい:リーチとつながる肩甲骨と体全体の動き、背中を自由にし、骨盤と肩甲帯の動きを解放する。
FI(実践的なイントロダクション)ATMの動きを使って探索する
(2人で組んで)
肩甲骨の動きを感じる
肋骨の動きを感じる
肩甲骨と肋骨の動きを感じる
<午後>
FI(実践的なイントロダクション)午前中の探索をさらに展開する
(2人で組んで)
骨盤と肋骨の動きを感じる
骨盤と肩甲骨の動きを感じる
体験をシェアする
(参加者)使う力を少なくすると大きな変化が生まれることが体験できた。短時間で効果が現れ驚いた。言葉を理解しない相手に動きを指示するのはどのようにするのか?
(講師)これはFIレッスンではない。FMの考え方を理解してもらうためにハンズオンで動きを体験しただけ。実際のFIレッスンでは、言葉は使わずにプラクティショナーとクライアント2人の感覚を連携させながらプラクティショナーが意図を持ってリードする。
ATM 拳をころがす
(仰向けで)
両腕を肩の高さで床の上にのばし、片方ずつ軽い拳を作って上下にころがす。
両腕を同じ方向へころがし、次に反対の方向へころがす。
共通のチェックの動き
仰向けで、腕を片方ずつ天井の方へのばす
歩く
<セミナーに対する参加者の感想>
動きを小さくすることで自分の動きの感じ方の感度を上げることができる。→相手に対しても接し方が変わると思った。体は全体でひとつの動きをしているので、体の向きひとつ変えるのもそのことを念頭に置けば患者様の苦痛なく援助を行えると思った。苦痛を少なく体動できることで患者様の意欲の向上とADLの拡大につながるよう今日の研修を基本とし応用できるようにしたい。
始めは本当に小さな動きの中で感覚を研ぎすますことに慣れず大変でしたが、最後はしっかりと体のつながりを感じることができた。レッスンを続けて行くうちに無意識でも体の中心線を意識(感じる)できるようになっていて、1日目のレッスンとのつながりを感じることができた。普段意識しない「呼吸」も大切な要因のひとつだと感じることができた。自分にとって一番動きやすい方法を実は自分が分かっていないこともあったので驚いた。患者様に気づかせてあげられるように練習していきたい。