フェルデンクライスメソッドは、環境のなかにあっての自己の機能的な気づきを発展させる学習のシステムである。このメソッドは、身体が学習にとっての第一の媒体であることを利用する。
フェルデンクライスメソッドは、人々に働きかけて、そのひとたちの動きの能力の範囲を拡げ、気づきを高め、機能を改善して、自分自身をもっと充分に表現することを可能にする。
フェルデンクライスメソッドは、自己全体を組織化し、排除され忘れられた動きのパターンや行動を回復するために必要な学習をどのようにして容易にするかという問いに対して直接的に向けられているものである。
このことは、ひとのなかにある、気づきの働いていなかったり機能的な行動に関与していない部分に注意を向けるような一連の動きをし、自己イメージを拡げることによってなされる。より良い機能性とは、個人と重力とそして社会との間の、より良いダイナミックな関係を確立することによって喚起されるものである。フェルデンクライス自身は、「機能」というものを、そのひとと外の世界または環境における自己との相互作用であると定義している。
このメソッドは、習慣的になっている動作や動作のイメージにおいて忘れ去られたり除外されている動きや身体の部分々々を、ひとびとの機能性のなかに取り戻すことを可能にする。あらゆる動きのなかに、どのようにして身体全体が関与しているかを学ぶ機会を与えることで、フェルデンクライスメソッドはひとびとが人生をより充分に、有効に、快適に生きることを助ける。
身体の機能性の改善は、必ずしもそれ自体を目的とするものではない。そのような改善は、より広い範囲の機能的な気づきの発展に基づいて起こるものであり、その気づきは、個人の環境や人生との関連における身体的な機能性のより普遍的な高まりの入り口であることが多い。
フェルデンクライスメソッドは、学習における自己組織化と自己調整に基づいている。
フェルデンクライスメソッドは、ATM(Awareness through
Movement:動きをとおしての気づき)とFI(Functional Integration:機能の統合)というふたつの並列されるかたちによって行われる。
ATMは、主としてグループを対象にして行われ、言葉によって指示される一連の動きによって成り立つ。数百の異なるレッスンがATMにはあり、ひとつのレッスンは一般に30~60分の長さである。それぞれのレッスンは通常、ある特定の機能について構成されている。
ATMレッスンでは、ひとびとは、動きによる探求を行うわけだが、レッスンは精密に構成されていて、思考、感覚、動き、そして想像を要素としている。多くは発育に関わるような動きや通常の機能的な行為に基づいている。関節や筋肉、姿勢のつながりについての、もっと抽象的な探求をするものもある。レッスンは、快適で容易い動きによって成り立ち、次第に、より範囲の大きい複雑な動きへと展開していく。フェルデンクライスメソッドには数百の異なったレッスンがあり、構成や身体の動きがシンプルなものからもっと難しいものまで、あらゆるレベルの運動能力に対応している。
ATMレッスンで試みられることは、習慣的な神経と筋肉に関するパターンと限定に気づかせ、感受性を高め、動きをより有効なものにすることによって、新しい動き方への選択肢を拡げることである。
ATMの主要な目的は、もっとも基本的な機能性とはどのように組織化されているかを学ぶことである。どんな行動でも、それをどのようにして行うかを詳細に体験することによって、生徒は、どのようにして以下のようなことをするかを学ぶ機会を得るのだ。
自己全体に注意を傾ける
不必要なエネルギーを使うことをやめる
意図を行動に移す
学ぶ |
FIレッスン(機能の統合)はフェルデンクライスメソッドが行われる際のもうひとつのかたちである。フェルデンクライス・プラクティショナーは、ATMレッスンで言葉を用いて一連の動きする案内をするように、柔らかな、押しつけのない(non-invasive)タッチで動きの中を導いていく。
FIは手を使ってする(hands-on)、触覚と運動感覚のコミュニケーションである。フェルデンクライス・プラクティショナーは、自分がどのようにしてその生徒の身体を組織化するかを伝え、柔らかなタッチと動きをとおして、どうやってより豊富な機能的運動パターンの中で動くかのヒントを与えるのだ。
FIレッスンは、生徒の願望、意図、または必要に関連づけられるべきである。学習のプロセスは、押しつけたり無理に行うようなやり方はしないで行われる。信頼、そして、生徒の能力と資質と尊厳に対する尊重をもって行われ、プラクティショナー/教師は生徒が快適に学習できるような環境を作り出す。
FIでは、プラクティショナー/教師は、生徒のために、その特定の時間に、その特定の個人が持っている独特のかたちに合わせた特別仕様のレッスンを展開する。プラクティショナーは快適さ、喜び、動きの容易さの体験を伝え、その間に生徒は、新しいより有効なやり方でどのようにして自分の身体とふるまいを認識するかと学ぶのである。
FIにおけるプラクティショナー/教師の意図は、教え、伝えるものである。
FIはふつう生徒が特別なフェルデンクライス用のテーブルの上に横になるかたちで行われる。生徒が座り、または立って行うこともある。時に、身体の姿勢をサポートするために、あるいは特定の動きを促進するために色々な補助が使われる。
このメソッドは、物理学と生体力学の原理、そして、学習と人間の能力向上についての経験からの理解に基づいている。
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